光の巫女
「今の俺は弱くて・・・一人では何も出来ない、臆病者だ。
 そんな姿、お前にだけは見られたくないんだ・・・」


「円は・・・死ぬつもりなの・・・?あたしを置いて・・・」


 そっと視線を外し、そのまま何も言わず俯いてしまう円。


 それが肯定しているという証拠なのだろう。


「早くここから離れろ。ここは時期に九尾に見つかってしまう。千影様の所に戻れば、ずっと・・・安全だ」


 そう告げると、菖蒲に背を向けて歩き出す円。


 また自分は何も出来ないまま守られるだけ。


 それが嫌だから、もがいてきた。


 それは、この人と生きていきたいと強く願っているから--------


 気がついたら走り出していた。

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