光の巫女
千影の話に聞いた千年前の出来事。確か栴とは光巫女様の名だったはずだ。

円の髪は、綺麗な銀色に姿を変えていた。 瞳も血のように紅い。

先ほどまでもがき苦しんでいたはずの円は、今はもう涼しい顔をしている。

「お逢いしたかった・・・ もう、離れたり致しませぬ・・・」

「私もだ、栴よ・・・」

そう言われたことが嬉しいのか、菖蒲は泣きたくもないのに涙が零れるの感じた。

心が暖かい。

伸ばされる手と手。近づく二人の距離。

あと、少しーーーー

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