総長からの「愛してる」Ⅱ
龍嵐の目を盗みつつ、俺は倉庫の外へ向かう。
鳳凰の副総長が、喧嘩を抜け出す選択肢を取るなんて、普通ならあり得ねぇけど。
美愛が悲しむのをわかっている以上、龍嵐と鳳凰、互いの被害を出来るだけ少なくしたい。
「…………。」
スマホを取り出し、電話をかける。
この電話で終わらせるのは本望じゃねぇけど、美愛が一番泣かねぇ方法だろうしな。
どこまでも美愛のことしか考えてない自分に苦笑する。
どうして、泣き虫な女を好きになったんだか。
スマホを耳にあてながら、自分の首のネックレスが揺れていることに気づく。
赤い羽根と炎の鳥がモチーフのものだ。