総長からの「愛してる」Ⅱ
痛い。
普通どうりで、いつも通りじゃない吉良の笑顔が、今の私の心には痛すぎる。
「実はさー、俺は別にお前に帰ってきてほしいわけじゃないんだわ。」
下では今も喧嘩が続いているというのに、ここだけに別世界が作られる。
「俺の望みは、お前が一番幸せな道を、自分で選んで進むことなんだ。
美愛が幸せなら俺は何でもする。
その気持ちは、悠希と一緒なんだけどな。」
その言葉に、思わず吉良に抱きついてしまう。
『美愛の幸せ』
今まで、來叶や悠、そして廉也にも言われてきた言葉。
私は、一体どれだけの人から幸せになってほしい、と願われてきたんだろう。