総長からの「愛してる」Ⅱ
「次で決まるかもな。」
鳥遊悠希は話を締めくくると、すぐに走り出す。
一気に縮まる距離。
すれ違いざまに互いに攻撃を出すという、よく一対一の決闘で使われる手だ。
つまり、すれ違う一瞬の駆け引きで勝敗が決まってしまう。
中途半端に当たっても相手は倒れないし、相手に当たっても自分も倒されてはダメだ。
「これで決める。」
俺も足にグッと力を入れる。
視覚だけに力を集め、ジッと鳥遊悠希の重心の動きを見る。
重心が若干、左足にかかっている。
つうことは、まず右足の蹴りは飛んでくる。
更に、受け身の姿勢が取れるような体制ということは、すれ違うどころか、自分も攻撃の反動を受けるような威力らしい。