総長からの「愛してる」Ⅱ
手に持っていた花を、目の前の石の上に置く。
自嘲的に笑い、そっとそれを見た。
満開に咲いた、アイリス。
青紫色に咲き誇る、花。
意味は、「あなたを大切にします」「吉報」「恋のメッセージ」「優雅な心」
「けど、俺が伝えたい言葉は……」
言いかけて、やめた。
こんな所で何を言っても、思っても、願っても…やはり意味はない。
死んだらもう、何も伝えられないんだから。
海の近くに広がる墓地。
目の前の墓石の下には俺の大切な人が眠っている。
俺の思いも痛みも二度と届かない、場所で眠っている。