総長からの「愛してる」Ⅱ
海斗の指差す方を見れば、奥に昴らしき姿が見えた。
「じゃあ、俺は入口で待ってるから行ってこい。」
「うん。ありがとう。」
早速、歩き出そうとした私に、海斗が思い出したように声をかけた。
「そういや、あいつこの時期になるといっつもアイリスっつう花を供えてる。」
海斗が出したそのヒントで、私は桜瀬昴の過去を垣間見た気がした。
「救ってやってくれ。」
その言葉に頷き、私は再び歩き出した。
私を認めてくれた彼を、今度は私が受け入れなきゃいけないと、思うから。
たとえそれが、予想以上に苦しく辛い過去だろうと。