総長からの「愛してる」Ⅱ
《side 昴》
段々と近づく足音に振り返れば、そこにはあの女がいた。
「……誰に聞いた?」
美愛は俺から数メートル離れたところで足を止めると、躊躇いがちに言った。
「海斗から。」
余計なことしやがって。
海斗が美愛に感謝をしていることは、龍嵐なら誰でも知っている。
その証拠に女の影はパッタリと消え、こいつを本気で好きになっている。
だから美愛なら俺を救ってくれると期待しているんだろう。
………救えるわけ、ないだろ。
俺の抱えてるものは、廉や奏、海斗とは違う。
あいつらみたいに過去に怯え、今でも憎しみに囚われているような……闇なんてものはもってない。