総長からの「愛してる」Ⅱ
正直、別に驚きはしない。
似てるとは思わないけど、海斗の顔は綺麗だし、親が美人なのは想像できること。
「一宮っていうのは芸名で、俺と似てないのはあの女が整形したから。」
まるで何か汚いものでも見たかのように、海斗は吐き捨てたような乱暴な喋り方をする。
「………で、その女の影響を受けて俺もガキの頃はモデルをしてた。」
顔を一気に歪め、憎々しげな視線を持った海斗は、立ち上がると廉也の本棚に向かった。
「………やっぱ捨ててなかったか。」
海斗が本棚から抜き出したのは、廉也には似合わない料理本。
誰にも見られないようにしようとしたのか、目立たない隅の方にあった。