総長からの「愛してる」Ⅱ
もう、慣れてるはずだ。
何かのために自分を犠牲にするなんて、私の人生で幾度もやってきた。
自分を売って、何でも守ってきた。
今、この決断をしたところで、自分を犠牲にしすぎた私の心が傷つくなんて、ない……はずなのに。
痛い。
選べる選択肢は一つしかないというのに、私の心は全力で拒否している。
でも、愛する人たちの不幸を守らないなんてことが、できるはずがない。
「…………。」
「答えろアイ。
お前は、何を選ぶ。」
息が苦しい中、懸命に言葉を選ぶ。
私に何ができるのか、何をすることが正しいのか。
「………九識敦といることを選ぶ。」
それだけしか、選べない。