総長からの「愛してる」Ⅱ



俺らにはなくて、奏だけがもっているもの。



そんなのは幾らでもあるが、その中で、“奏だけに話す” という行為に繋がるものが思いつかない。



一体、あいつの両親に何があるというんだ。



「俺と同じなんだ、美愛は。

美愛の親は……」




奏の躊躇いが、俺たちに緊張を与える。




「美愛の親は、犯罪者なんだよ。」




その言葉に、奏の闇を思い出す。




奏が、今でも苦しめられている両親の『詐欺師』という名の犯罪者というレッテル。



その息子である奏に必然的に貼られる『犯罪者の子』というレッテル。




それ以上に、親の影響で持ってしまった、捨てられない人の考えが読めるという能力。




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