総長からの「愛してる」Ⅱ
予想以上に暗い過去。
父親が犯してしまったのは、殺人。
それは、どれだけ彼女の重みになっただろう。
「父親は、警察に捕まる前に、美愛のために金を残したって。
父親が罪を犯したから、親せきはだれも美愛を保護しようと思わなかったらしい。」
殺人を犯した犯罪者の娘。
幼いながら、そんな風に親戚に言われたんだろう。
そんな父親の恨みを、美愛の口から聞いたことはない。
きっと美愛は、父親を許すことができた。
だがその分、母親への恨みは大きかったんだろう。
『あの人』『馬鹿な人』………母親を母親と呼べないんだろう。