総長からの「愛してる」Ⅱ



予想以上に暗い過去。


父親が犯してしまったのは、殺人。



それは、どれだけ彼女の重みになっただろう。




「父親は、警察に捕まる前に、美愛のために金を残したって。


父親が罪を犯したから、親せきはだれも美愛を保護しようと思わなかったらしい。」




殺人を犯した犯罪者の娘。



幼いながら、そんな風に親戚に言われたんだろう。



そんな父親の恨みを、美愛の口から聞いたことはない。


きっと美愛は、父親を許すことができた。



だがその分、母親への恨みは大きかったんだろう。



『あの人』『馬鹿な人』………母親を母親と呼べないんだろう。




< 291 / 427 >

この作品をシェア

pagetop