総長からの「愛してる」Ⅱ
「いろんなことを抱えてんだな……」
自分の腕の中で眠る未來を見つめ、海斗は呟いた。
その一言が、この空間に重く響く。
あいつは俺が思うより、ずっと重く辛いものを抱え、生きてるんだ。
一番怖いのは、美愛が諦めることに慣れてしまうことだ。
慣れっつうのは、いいことじゃない。
人は不思議と、慣れてしまえば、そのことへの感情が薄れてしまう。
恐怖も、嬉しさも、嫌悪も、好感も、怒りも、喜びも、悲しみも、愛おしさも、
良い感情も、悪い感情も。
慣れてしまえば、それを当たり前だと勘違いしてしまう。
だからこそ、美愛が自分を犠牲にすることに慣れてしまうのが、一番恐れることだ。