総長からの「愛してる」Ⅱ
弱い自分と孤独なトップ
《side 廉也》
…………妙だ。
薄気味悪い廊下を一人で走りながら、俺はなんともいえない違和感に気づいた。
どうやらここは、潰れたゲームセンターを改造した所らしく、中はそこそこ広い。
九識敦のいる場所へと全力疾走しながら、頭の中で冷静にもう一度考える。
そう。
俺が一人で走っていることは、あまりにもおかしいことだ。
なぜ、誰もいないんだ?
普通、九識敦の元へ行く俺を止めるために、何十人いてもおかしくない。
なにかの罠か?
それにしたって、人の気配がないのは変だろ。