総長からの「愛してる」Ⅱ
「…………考えても、仕方ねぇか。」
正直、罠だろうとなんだろうと、俺の中にはこの道を進む以外の選択肢はない。
たとえ何があろうと。
だが、もう一つだけ気になることがある。
昴のことだ。
この道のなかでたった一人だけ、昴とはすれ違った。
昴のことを止めることはせず、俺は何も言わないつもりだった。
だが、予想外なことに、あいつから話しかけてきた。
『……廉。今回のこと、悪いと思ってる。
償いにはならないが、一つだけ忠告を聞け。
………傷つかないうちに、引き返した方がいい。
美愛と会ったら、廉は自ら別れを望むことになる。
廉があの女を愛しているほど、廉はあの女から離れることを選ぶ。』