総長からの「愛してる」Ⅱ
カラン……
九識敦の手から、ナイフが落ちた。
慌てたように、九識敦は床を見る。
「…………その程度か。」
思わず、期待外れの声が出る。
落ちたナイフを拾おうとするが、九識敦の手は震えていた。
九識敦は……一歩も動かず、何も言わない俺に対して、既に恐怖を感じていた。
「……あ……?なんでだ……?」
力が入らない手ではナイフを再び握れない。
それでも必死にナイフに縋ろうとする九識敦は、滑稽に見えた。
こいつがここのトップであることは間違いない。
それは、鳥遊の方で調べてある。
だが、正直こうも弱いとは思わなかった。