総長からの「愛してる」Ⅱ
「お前じゃあ、俺には勝てねぇよ。」
行き所のなくなった怒りを残したまま、九識敦に吐き捨てた。
こいつが犯罪に手を染めた理由は、もう明白だった。
もちろん、自分の欲をかなえるためだとは思うが……それ以上に、こいつは自分の弱さを隠したかった。
だから凶器を使い、手下で犯罪を犯し、自分の欲のままに動いてきた。
「根っこ弱いままじゃ、これから先もお前は何も変わらねぇよ。」
「…………黙れ!」
口では達者なことを言うそいつに、俺は冷たい目線で見下ろす。
こんなやつ、殴る価値もねぇ。
「自分に向き合わねぇと、本当に欲しいものも、大切なものを守る強さも手に入らねぇだろうが。」