総長からの「愛してる」Ⅱ
「…………廉也……もういいよ。」
その、か細いたった一声で俺の手は止まった。
自分でもコントロールできず、怒りに染まった体が、急激に冷えていく。
「もういいから。
それよりも、廉也……そばにいて。」
俺の言う通り、目を閉じている美愛。
その体は、相変わらずベッドに貼り付けられている。
完全に気絶しているそいつのポケットを探せば、中から鍵を見つけた。
「…………。」
俺以上に美愛の方が苦しいことはわかってる。
だが、自分の情けなさと、九識敦……そして己への怒りで、美愛に声をかけることができない。