総長からの「愛してる」Ⅱ
「もう、俺の前で泣くな。」
幸せにするために
黙ったまま錠を外してやり、美愛の頭を撫でようとして……その手を握りしめた。
そっと瞼を開けた美愛は、一瞬眩しそうに目を細め、俺の姿を瞳に映した。
「ごめんね。…………廉也、ごめん。」
美愛が悪いんじゃねぇ。
守ると言って、俺は二度もこいつを守ってやれなかった。
俺ばかりこいつに守られて、俺は何も返してやれねぇ。
「廉也……あのね、覚えてないの。」
「……あ?」
「廉也との電話のあと、あの男に襲われて抵抗して……その途中で意識を失ったみたいで、記憶がないの。」
美愛は掠れた泣きそうな声を出し、頭を押さえた。