総長からの「愛してる」Ⅱ
気付けなかった勇気
《side 昴》
旭と一対一の攻防が続く中、後ろでやけに大きい破壊音が聞こえた。
音源からは、怒りで真っ黒に染まった殺気を感じる。
あれを見たんだろう。
「……罪深い。」
復讐だと言いながらも、こうして仲間を裏切っていることに変わりのない俺は、今この瞬間も罪を重ねている。
そして、よりにもよって九識敦と手を組んだからには、廉は許してくれないだろう。
俺もまさか、目の前で美愛があんなことになるなんて思わなかった。
この耳から、美愛の悲鳴が離れない。
見ているだけしか、できなかった。