総長からの「愛してる」Ⅱ
「楽しみにしているよ。
相手のことも聞かせてほしいな。」
そのあともお父さんとの面会は、時間めいいっぱいまで話した。
話すネタが尽きることもなく久しぶりに血の繋がった家族に触れられて、私の心は満たされた。
お父さんの服役はこれからも続く。
それは仕方のないことだ。
でも、こうやって会えるから寂しくはない。
誰も信用できず、誰にも頼れず、一人ぼっちだったあの頃を知っているから、今のままで十分だと思える。
「じゃあ、また来るね。」
「いつでもおいで。」
ニコニコと手を振る父に背を向け、私は刑務所をあとにした。