総長からの「愛してる」Ⅱ



ギュッと握りしめた手。


食い込む爪が痛い。



「でも、何も言わないことにしたの。
だから、あなたからも何も聞かないわ。」



「えっ_______?」



予想外の返答に、相手の顔を凝視してしまった。


てっきり責められるものだと思った。




「來叶の死について、全てをあなたの責任にすることは楽だわ。


けれど、來叶がいなくなってからの日々、泣いていたのは私だけのはずがないじゃない。」



最後に記憶に残っている來叶のお母さんの顔は、憎しみと怒りで溢れたものだった。



本当のこの人は、優しくて誠実で上品で、それでいて頭の良い女性。




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