総長からの「愛してる」Ⅱ
「……あいつは確かに、狂っていた。
だが、あいつはわかっていた。
たとえ美愛を永遠に愛したとしても、自分が愛されることはないと。」
決して、同情するような声じゃない。
昴が、あんな最低なやつに同情するとも思えない。
けど、その声にはどことなく憂いが含まれていた。
「……だから、あの男は手を出せなかった。」
九識敦の中の葛藤が垣間見えた気がした。
自分がいくら狂気に染まり、汚い男になろうとも……好きな女をこれ以上汚せない。
あの男が美愛を抱いたときは、美愛は自分から選んでそこまでいってしまった。