総長からの「愛してる」Ⅱ
「ううん、大丈夫だよ。」
準備を終えて現れた彼を見て立ち上がる。
いつものラフな格好とは違い、アイロンのかけられてパリッとしたシャツに、上品な臙脂色(えんじいろ) のネクタイ、黒のスーツ。
相変わらず、廉也はセンスもあるし、何を着てもカッコいい。
「行くぞ。」
それ以上は何も言わずに、廉也は私に手を差し出す。
「うん。」
私も何も言わずに、その手に自分の手を重ねる。
ぎゅっと絡められる指が力強くて優しくて……自然と笑顔になれる。
「じゃあ、行ってくるね。」
「おう。未來ちゃんのことは任しとけ。」
それに頷いて、私と廉也はドアを閉めた。