総長からの「愛してる」Ⅱ



「ううん、大丈夫だよ。」



準備を終えて現れた彼を見て立ち上がる。



いつものラフな格好とは違い、アイロンのかけられてパリッとしたシャツに、上品な臙脂色(えんじいろ) のネクタイ、黒のスーツ。


相変わらず、廉也はセンスもあるし、何を着てもカッコいい。




「行くぞ。」


それ以上は何も言わずに、廉也は私に手を差し出す。



「うん。」



私も何も言わずに、その手に自分の手を重ねる。


ぎゅっと絡められる指が力強くて優しくて……自然と笑顔になれる。




「じゃあ、行ってくるね。」



「おう。未來ちゃんのことは任しとけ。」




それに頷いて、私と廉也はドアを閉めた。




< 394 / 427 >

この作品をシェア

pagetop