総長からの「愛してる」Ⅱ

《side 海斗》


目の前でヴァージンロードを歩き、廉の元へとゆっくり向かう美愛。



純白の花嫁は、今まで見たどんな女よりも美しい。


ヴェールで顔は隠され素顔はちゃんと見えないが、今この瞬間、世界中の誰よりも綺麗に違いなかった。



その姿があまりにも眩しいからか、それともやっとこの日を迎えられた感激からか……


俺の目から自然と涙が溢れた。




そんな俺に、横にいる奏は気づいているはずで。


普段だったら散々からかってくるのに、何も言わねぇでくれた。




………ああ、やっぱり俺が美愛の向かう先にいたかった。




そう思ってしまうこの感情にも、もう慣れてしまった。


だが、今日のこの気持ちは……今までのどの時よりも穏やかなものだった。



< 411 / 427 >

この作品をシェア

pagetop