総長からの「愛してる」Ⅱ
《side 海斗》
目の前でヴァージンロードを歩き、廉の元へとゆっくり向かう美愛。
純白の花嫁は、今まで見たどんな女よりも美しい。
ヴェールで顔は隠され素顔はちゃんと見えないが、今この瞬間、世界中の誰よりも綺麗に違いなかった。
その姿があまりにも眩しいからか、それともやっとこの日を迎えられた感激からか……
俺の目から自然と涙が溢れた。
そんな俺に、横にいる奏は気づいているはずで。
普段だったら散々からかってくるのに、何も言わねぇでくれた。
………ああ、やっぱり俺が美愛の向かう先にいたかった。
そう思ってしまうこの感情にも、もう慣れてしまった。
だが、今日のこの気持ちは……今までのどの時よりも穏やかなものだった。