総長からの「愛してる」Ⅱ



なんともいえねえ。


ただ、喉の奥から感情が押し寄せて。


かけてあげてえ言葉が、いろいろあるはずなのに、その全部が涙に変わる。




もう……まじで……、悔しいけど、嬉しすぎて……この式で本人たちよりも俺の方がよっぽど泣く量が多くなりそうだ。




いつまでもメソメソしてるのもかっこ悪ぃ。



止まらなくなっていた涙を止めるために、ぐっと目に力を込める。






ーーーふと、今朝の様子を思い出す。




朝一からバタバタしている十六夜家の屋敷を、インターホンなしで入った俺。


たまたまエントランスを通ったらしい美愛が、俺を見てキョトンとし、首をかしげた。



その様子を気にせず、前触れもなく過去最大の声で俺は叫んだ。






「結婚おめでとう!!!」






美愛のビックリした顔と、いつの間にいたのかエントランスが見える階段の上から見下ろすように立っていた蓮が



一瞬で笑顔で「ありがとう」と返してくれた、二人のその幸せな表情が印象的だった。




< 412 / 427 >

この作品をシェア

pagetop