総長からの「愛してる」Ⅱ
「美愛……」
幸せに浸っている私の隣に、廉也が座った。
さっきまでとはまるで違う、真剣な面持ちで私の方を見る。
「正直、渡すかどうか悩んだ……」
そう言った廉也が差し出してきたのは、真っ白な封筒。
表に『十六夜美愛様』と書かれた封筒には、裏返しにしてみても差出人の住所も名前も書いていない。
不思議に思って廉也をみると、その瞳にどこか不安が見えた気がした。
封が切られているそれは、すでに廉也が中身を見ただろうことが予測された。
あまり見たことのない俺様ではない瞳を見せる廉也に、少し視線を送ってから中に入っていた便箋を取り出した。
便箋は飾り気のない、真っ白なもの。
廉也に見守られながら、そっと便箋を開いた。