総長からの「愛してる」Ⅱ
「行くぞ。」
未來を抱き上げ、私の所へ戻ってきた廉也を見上げる。
廉也のキスで力が抜けていた体で、無理矢理立ち上がる。
「大胆になっても、キスが弱いのは相変わらずだな。」
不敵に笑う廉也にあえて何も答えず……というか否定できず、廉也の後ろについて行く。
廉也もそれ以上何かを言う気は無いようで、ドアに手をかけた。
「美愛、今のお前ならもう一度できる。」
何ができるのか。
それを廉也は言わない。
美愛は半信半疑に頷く。
上手く伝えられなかったか、と廉也は美愛をチラッと見つつ視線を前に戻した。
それでいい、と思う。
こういうのは悩むことに意味があるのだから。