夕焼けのおちる図書室で
「ごっめーん!!彩希ちゃん!!」
「蘭、遅い」
息を切らしてこちらへ向かう蘭を、毒舌で受け止める彩希。
はぁはぁ、と膝に手をついている蘭に冷たい視線を向ける彩希。
こいつら本当に友達かよ、って怪しくなるけど
彩希曰く、「親しい人に冷たくなる性格」らしい。
にしても、蘭は彩希の毒舌を受け止められるなんてすげぇな。
器がでかいんじゃなくて、
単に能天気なだけなんだけどな。
「ごめ、長引いちゃって」
「裕介、ビリ」
最後にきた裕介にまで毒舌を炸裂させる彩希。
栗原も毒舌だけど、彩希も負けないと思う。
「まぁまぁ彩希ちゃん!!さ、帰ろ!!」
水泳部の蘭の髪の毛から、ポタリと水滴が垂れる。
「うん、……………………これ使いなよ」
「わ、ありがと!!今日タオル忘れちゃってさぁ~」
それに気づいた彩希はすかさずタオルを差し出す。
なんだかんだいって、やっぱり仲良いな。