夕焼けのおちる図書室で
「しっつれいしまーす」
図書室へ入ると、独特の香りがあたしを包んだ。
「貸出ですか?返却ですか?」
凛とした声のこの子、栗原栞ちゃんは図書委員。
「うん、返却だよ」
バッグから本を取り出し、栞ちゃんに差し出す。
淡々と手続きを進める栞ちゃん。
「ねぇ、彩希ちゃんも最近ここに来るよね」
なんとなく、会話を試みた。
「まぁ」
「ねぇ、彩希ちゃんは嘘つきだよ」
「そう」
なーんだ、他の子ならもっと驚くのにな。
つまんないの。
「返却完了」
「うん、ありがとう!!」
「ねぇ、水原さん」
「ん、なあに?」
「“あのこ”のこと、嘘つきっていったけど」
「うん?」