夕焼けのおちる図書室で


「彩希」

名前を呼ばれて、振り向いた




「遥?どうしたの?」




予想外。遥だなんて







「図書委員の、栗原って知ってる?」










____なんで





なんで そんなこと私に聞くの?





「栞ちゃんのこと?」






本当は泣きたいところだけど。




私は、痛む心を押さえつけて、“笑顔で”




「そうそう、そいつね」


「うん、栞ちゃんがどうかした?」


「いや、なんかあいつからお前の話聞いたから、知り合いなのかなって思っただけ」


「うん、本借りによくいくからね~」





遥を追いかけた、っていうのもあったけど

私は単純に、趣味が読書だったし。





「ふぅん…」




「遥はなんで図書室に出入りしてるの?」





バカ…


何故聞いたんだよ、彩希。


自分のバカ。


いや、それは重々承知してるんだけど






「え、あぁ。だってさ、栗原おもしれぇんだもん」




へへ、といたずらっぽく笑う遥。






憎めない笑顔だよな


だから、あんたはモテるし、

人気者なんだろうね。










ただし、私とは違う意味だけど
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