シュガーメロディ~冷たいキミへ~
厨房とフロアを分ける暗幕の方を見れば、もうすでに片付けに入っている人たちによって取り外され始めていた。
今シフトに入っていない人たちも集まってきていて、綺麗に飾り付けられたカフェがいつもの教室に戻ろうとしている。
半分取り外された暗幕の向こうに行くと、だけどそこに水無月くんの姿はなかった。
数人の生徒が楽しそうに片付けを進めている。
「あの、……水無月くん、どこにいるか知ってる?」
厨房を片付けていた女子生徒のひとりに声をかけると、
「あー、航なら外だよ」
という答えが返ってきた。
「え?」
外、って校庭?
どうして?
「航、カフェ担当だけど後夜祭の担当もやってるから。今日はもうこっちには戻ってこないんじゃないかな。打ち上げもたぶん無理って言ってたし」
「そうなんだ……。わかった、ありがとう」
え、どうしよう。
じゃあ今日はもう会うの無理ってこと?
「……っ」