シュガーメロディ~冷たいキミへ~
「……大事な……」
思わず反芻してしまったら、その途端に水無月くんの顔が赤くなった。
どうやら自分でも意識してなかったようだった。
「っ!あっ、ち、違うから!それは……、そのっ!」
ひとりであたふたしていた水無月くん。
だけど、ふいに視線が合った瞬間、焦ったように泳がせていた視線が急にまっすぐ私の瞳を捕えたものだから、すごく驚いてしまった。
「……や。違ってなんかないか」
「え?」
「……あんなに雪岡のピアノが怖かった。……嫌いだった。なのにいつの間にか、俺」
そこで一度言葉を切った水無月くんは、更に強く視線を向けてきた。
……逃げられない。
そう思わせる、強い、強い視線。
「……俺、雪岡のことが好きだよ」