シュガーメロディ~冷たいキミへ~
「……水無月くんは覚えてないかもしれないけど、私、水無月くんにすごく励ましてもらったんだよ」
私の音を好きだと言ってくれて、本当に嬉しかった。
「私が今までピアノを頑張ってこれたのは、水無月くんがいてくれたからなの。だから……、また私のピアノを聴いて水無月くんが傷付くのは嫌だから」
どう頑張ったって、私には私のピアノしか弾けない。
そしてその私のピアノはきっと、水無月くんが言うようにのん先生のピアノにそっくりなんだろう。
……だけど、それでもそれはまぎれもなく私の音なの。
どれだけ似ていると言われようと、私だけの音があるはずなの。
私自身の想いを乗せたピアノが、水無月くんに届いて欲しいの。
「……だから、少しだけ時間をください。
のん先生のピアノじゃなくて、私だけの……、私らしいピアノを水無月くんに聴いてもらえるようになったら、もう一度……好きって、言わせて欲しいです」
好きって言ってもらえて、本当に嬉しい。
だけど、私のピアノは私の全てがつまってるの。
言葉より、仕草より、態度より、ずっとずっと、私の全部だ。
だから。