【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
やっとのことで繁華街へ出たタクロー一行はひとまず観光へ出かけることにした。
ワットポー寺院では、ビーフジャーキーをくちゃくちゃしながら寝っ転がった大仏を眺めた。
「上から目線だな」
タクローは左の口角をきっと上げた。
「上から大仏様ですよ」
トナカイも便乗した。
「しかしあれだな、いいもんだな大仏ってのは」
タクローは食べ終わったビーフジャーキーの袋をその辺に放り投げた。
いや、自然に返還したと言った方が確かか。
「え? なんでです? サンタのほうがよくないですか?」
「なんでだ?」
「全世界共通で愛されてますから」
「・・・エクセプト イスラムだけどな」
右の口角をきっと上げた。
「で、どうして大仏がいいもんなんです?」
トナカイが脱線しそうになった汽車を線路に戻した。
「この格好を見てみろ」
「さっきから見てますが」
タクローはトナカイを睨んだ。
トナカイはその目を受け流した。
「まるで日曜日のお父さんそのままだ」
「はぁ」
トナカイはクビを傾げた。