【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

 やっとのことで繁華街へ出たタクロー一行はひとまず観光へ出かけることにした。

 ワットポー寺院では、ビーフジャーキーをくちゃくちゃしながら寝っ転がった大仏を眺めた。

「上から目線だな」

 タクローは左の口角をきっと上げた。

「上から大仏様ですよ」

 トナカイも便乗した。

「しかしあれだな、いいもんだな大仏ってのは」

 タクローは食べ終わったビーフジャーキーの袋をその辺に放り投げた。

 いや、自然に返還したと言った方が確かか。

「え? なんでです? サンタのほうがよくないですか?」

「なんでだ?」

「全世界共通で愛されてますから」

「・・・エクセプト イスラムだけどな」

 右の口角をきっと上げた。

「で、どうして大仏がいいもんなんです?」

 トナカイが脱線しそうになった汽車を線路に戻した。

「この格好を見てみろ」

「さっきから見てますが」

 タクローはトナカイを睨んだ。

 トナカイはその目を受け流した。

「まるで日曜日のお父さんそのままだ」

「はぁ」

 トナカイはクビを傾げた。
< 11 / 88 >

この作品をシェア

pagetop