【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

「床に寝っ転がって煎餅食いながら、安いドラマを見て屁をこく様に似ているだろうが?」

「タクローさん、いい加減にしないと怒られますよ」

「誰に?」

「異教徒なんですから」

トナカイは小声でタクローに耳打ちした。

「あれだな、おれもこれがしたい」

 タクローの突飛な鞍替え発言にトナカイは目が飛び出そうになった。

「寝っ転がって微笑んでりゃ金が入るなんてよ、これだよ、俺の求めていたものはよ!!!」

 両手を高々と上げ、大仏に微笑む様は、サンタクロースとしてはいかがなものかと疑いたくなるものの、当のタクローの目は黄金の大仏に負けないくらい、きらびやかに輝きを放っていた。


「違いますよタクローさんが望んでいるものは」


 トナカイはそう言うと、未だ手を上げて固まっているタクローを半ば強引に連れ出した。



< 12 / 88 >

この作品をシェア

pagetop