【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ



  ******プッシー通り******



 ふわ~ぉ



 道を挟んで様々なピンクな店が点在していた。

「おおおおお!」

 タクローは揉み手をしながら、まるで大型犬が嬉しくてシッポをばっさばっさと振るように身体を左右に揺らしながら闊歩した。
 
 その後ろを首にリボンをつけたトナカイが鼻を赤らめながら謙虚についてきた。

 店の前では細~いおねぇちゃんたちがゆらりゆらりと焦らすような腰の動きで美味しそうな密を振りまき、カモを......

 いや、迷い込んできた蝶を秘密の花園へと誘っていた。


「きゃ~、かわいい~~~~~」

 おねぇちゃんたちはトナカイを見つけると、小走りに走り寄ってきた。

 トナカイは鼻を更に赤らめしっぽを小刻みに振った。

「触っていいですかぁ?」

 チョコレートより甘い香りにタクローは鼻の下を伸ばし、身体を少しだけくの字に曲げた。

「どうぞどうぞ」

 紳士ぶると、「秋田犬です」と、トナカイをと紹介し、ワンと吠えろと命じた。

 心で怒鳴るトナカイを知ってか知らずか、おねぇちゃんたちはぞろぞろと店から出て来て、トナカイをなで回した。


 トナカイは密かに嗅覚を覚醒させて行った。



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