【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

 そんな折、タクローも密かに一人のおねぇちゃんに狙いを定めていた。

 俺が欲しかったのは、これよ。

 心の臓が早鐘を打ち始め、血液は行かなければならない場所へと動きを早めた。

 店の黒服を呼ぶと、早速交渉に入った。


「しかしまぁ、うちもですね、いろ~んなお客さんが来ますけど、まさかのサンタさんは初めてですよ」

 黒服がまじまじとサンタを見て言った。


「で、サンタ割引はあんのか?」

 タクローはぐいぐい攻めた。

「サンタ割引?」

「安くなんのかってことだよ」

 焦る心と体を必死で抑えた。

「分かりました!遠くの国から来たお方だ! 特別料金でご提供しましょう! 特別ですよ!」



 .........日本からだけどな。



 と、心の中で言うが、口に出すのはやめた。


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