【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

「お見通しなんだよ」


 ドンは静かにタクローの手を戸から離すと、軍手をしている手に一瞥くれた。

「行け」

 ドンの静かなる声に従うより他に道はなかった。

「タクローさん、簡単に私のこと裏切りましたね」

「そうだっかなぁ」すっとぼけた。

「やっぱ大凶じゃないですか。ドンに見つかるんですから」

「おみくじなんか当てにならねーってことだな」

 タクローとトナカイはすごすごとドン*サンタのソリに乗る。

「くされ外道どもが。お前達はしばらく外出禁止だよ」

 サラブレッドのように磨き抜かれたドン*サンタの立派なトナカイは、タクローのそれとはかなり違っていた。


  1月の夜空に月と混じり、ドン*サンタのゴージャスなソリは、星の輝きにカムフラージュして、教会本部へと本当はいらない一人と一匹を乗せて舞い上がっていった。



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