【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

「あー、今年の行先は昨年の売り上げにより決まっている」

 星柄の短パンからおもむろに紙を取り出した。

「タクローさん、昨年は計画事故を起こしたから、わたしたちはカウントには入らないっすよね?」

「いや、あのドンすることだ。わからねーな」

 嫌な空気が二人の周りをくるくると回り始めた。

 昨年一番の売り上げを上げたスイスのサンタには、スイスチョコレートのプレゼントが贈られた。

 スイスのサンタは目を細くしてドンを見やい、その目は完全に嬉しくないと言っていた。

 トップの成績を上げたスイスサンタのご褒美がこれなら...と、全サンタがやる気を無くしたところで、今年のサプライズを発表した。



 今年一番の売り上げを上げたものには、、、、、



「・・・・・フィリピンに招待する」

 
 雄叫びを上げた全サンタの下半身に力がみなぎり、一斉に各々配達区域へと気合いを入れて前進して行った。

 が、タクローだけ持ち場がなかった

「ドン、すいませんが、俺の持ち場がないんですけど」

「ん?おまえたちは去年計画詐欺を働いただろう? 俺が見逃すとでも思ってんのか? これを見ろ」

 おもむろに取り出したのは領収書。

「これはおまえたちが俺に送りつけてきたキャバクラの領収書だ。こんなもんがまかり通るとでも思ってんのか? こら」

 タクローはトナカイのけつを蹴っ飛ばした。

「おまえたちは網走行きだ」

「ばかトナカイ! てめこのやろー。どこに領収書送ったんだよ! タコが!」

 タクローはトナカイに容赦なくプロレス技をかけ、そんな二人を口角をきっと上げて睨むドンは、首を振りながら自分の部屋へと戻って行った。


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