【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
1ダース入りのウイスキーボンボンを一気食いし、次の箱に手をかけた。
「お? ラム酒か? 最近はなにやら新しいもんだな」
タクローはそれも一気食いした。
トナカイはホワイトチョコレートに食いついた。
ミルク味のホワイトチョコレートは、スイスの牧場でも思い出すのか、しばらくその味を噛みしめ故郷の想いに耽っていた。
ベシリ!
と、トナカイは頭に衝撃を感じた。
そこには顔を赤らめたタクローが、緑色の便所スリッパ片手に突っ立っていた。
「あにしとるかね、ちみは!」
明らかにキャラが変わっている。
「タクローさん?」
可哀想なことにトナカイの頭から綺麗な故郷のスイスの思い出が消え去った。
トナカイはタクローの足下に散乱するチョコの空き箱を確認する。
そこには酒入りチョコのみを食い散らかした形跡が見て取れる。