【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
『えー、あ、はい、そうみたいです。捨てられたと思われる犬が駅にいまして、ええ、ちょっと大型犬ぽいので...あ、そうですか・......20分くらいで来られます? はい、飼い主と思われる男がチョコレートと一緒に捨てたっぽいんで...はい、じゃこちらで待ってますので...あ、ゲージは大型犬用ので足りるかと...はい...』
やばい。
しょっぴかれる!
本能で感じたトナカイはチョコレートをそこに置き去りにして、今しがた消えたタクローの後を全速力で追いかけた。
後ろで何かを叫ぶ声を耳にしたが、そんなことにかまっている暇はない。
優雅にコーヒーを楽しむタクローの横を、トナカイが誰かに追われながら突っ走っていく姿はタクローには見えない。
外ではトナカイが鼻水を垂れ流しながら、タクローさーん! と叫びながら探している。
バサッとスポーツ新聞を広げるタクローは、何かめぼしいゴシップは無いかとばかりに新聞に食い入っていた。