【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

 「着替えたまえ」

 1週間ぶりに熱いシャワーを浴び、2週間ぶりのシャンプーをし、新しいサンタ服に身を包んだ。

 トナカイは・・・・代わり映えしないが一応シャワーをかけてもらった。

 タクローは汚い笑みを讃えながら髪の毛をきっちり八二分けにし、ポマードで固めた。

「だからやめた方がいいですってそれ。どこの世界に八二のサンタがいるんですか?サンタっていったらふわふわのシルバーカーリーでしょう、タクローさん」

「お前は時代の波に乗ってない」

 なんの時代だかはさておき、勘違いスタイルのまま本部大講堂へと軽くスキップなんぞをしながら邁進した。

 

  そこには夢希望そして野心を背中に乗っけた新しいサンタ予備軍が既に整列して、お目目をきらんきらんさせて待っていた。

「本当に私たちで大丈夫なんでしょうか? 他には誰一人教育係らしい人は見当たりませんがねぇ」

 不安になるのも当たり前だがタクローはと言うとそんな心配はどこふく風。ポッケに手を突っ込んだまま壇上へと上がった。


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