【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
ブルーのあじさいに雨水が零れる。
梅雨入りしたのを待ち望んでいたカタツムリが嬉しそうに葉の上をぬめぬめと擦っていた。
「おい、これはあれか、特許取ってんのか?」
タクローは気持ちよくぬめっていたカタツムリをひょいと持ち上げてにおいをかいだ。
「だからやめましょうよタクローさん。そうやってなんでもかんでも特許に絡めんの」
トナカイはぶるぶるっと体を揺らし毛を濡らしている雨水を振り払った。
「こう梅雨だとやんなるな。なんか面白いとこでも行きたいとは思わないかい、トナカイちゃんよ」
「そう言ってもドンに監視されてるんですからどこにも出られないですよ今は」
「そこをなんとかしれっつってんじゃねえか、使えねえ秋田犬だなあ」
「トナカイです。って、そういやそろそろまりちゃんの誕生日じゃありませんでした?」
「あ? まりちゃん? おーおーおー、あれか、おめえの肩を持つまりちゃんか」
「タクローさん、言い方……」
「ほんじゃ、いっちょ誕生日パーリーとでも行きますか」
ぱふんと柏手をひとつ打った。