【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
タクローは真っ赤なサンタ服に同じく真っ赤な蝶ネクタイ。
トナカイもタクローに着させられたド派手なちんどん屋的な衣装を身にまとっていた。
足元は業務用の膝まで隠れる白い長靴だ。これで大雨になっても普通の運動靴のように歩けるってもんだ。
「で、トナカイさんよ、まりちゃんは一体どこにいんだ?」
「えーと、確か今日はお休みだって情報を仕入れたので、たぶん……おうちにいるんじゃないかと」
「そ」鼻をほじりそれをまじまじと見、トナカイで拭いた。
トナカイはそれを裏細い目でながめながら鼻にしわを寄せていた。
こほん。と、咳をひとつ。鼻くそのことは忘れる。
「で、タクローさん、手土産どうします?」
「あ? 出向くんだから必用ねーだろ」
「何言ってるんですか。
私たちは呼ばれてもないんですよ。
そうは見えなくてもそれでも一応サンタクロースの端くれじゃないですか!
サンタクロースは夢を与える仕事ですよっ!
タクローさん真逆の位置にいるんですからそこ、考えてくださいよ!」
「おめえもキャン×キャンキャン×キャンうるさいねえ。ほれ、ちゃんと持ってきてる」
そう言って見せたのはなんと、一升瓶。
「って、まりちゃんお酒飲めるんですか? そんな、お年頃ですか?」
「クソトナカイが。リサーチ力のかけらも無いね。この6月で二十歳だよ。まったくなんの役にも立たねえボロ雑巾め」