【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
あまりの言いようにウルっときて悲しくなったトナカイだったが、
「私はもっとこう可愛らしくて甘いお酒の方が喜ぶかと思うんですけどね」食いついてみた。
「それじゃあ俺が一緒に飲めねえじゃねえかバカタレが」
「え、プレゼントですよね? まりちゃんにあげるんてますよね?」
「まりちゃんだって俺と一緒に飲みたいだろうよ」
事故中心的なタクローは自分の都合のいいように考えるプロでもある。
諦めモードに入ったトナカイの懐にはもちろんまりちゃんへのプレゼントが入っている。
「たのもー!!!」
ドアをけたたましく叩きながら叫んだタクローに、
「だからそれ間違ってますからっ!」
トナカイが慌ててピンポンを押した。
「…………ぇぇ……と、どちら様でしょうか」
玄関をうっすら開けて顔を覗かせたのは可愛らしい女の子だった。が、そのお顔はひきつっているようにも見えた。
「どちら様もこちら様もねえわな、サンタ様だよ。んじゃ入るぞ」
「!!!ちょちょちょちょちょっとー!ダメですってここ男子禁制ですからー!!」
「男子禁制?」タクローの目が野性味を帯びてキラリんと輝いたのをトナカイは見逃さなかった。タイランドでのことを思い出していた。
「ってことはここは女子ばっかりか?」
「っ、はい……」
「……そうかそうか」にやつく笑みにグヘっと笑った口許がやるせない。