【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
「まりちゃん安心してください。タクローさんの好き勝手にはさせませんので。ほら、ドンが片時も離さず見張ってますから」
トナカイが慌ててタクローのズボンの裾を口でめくって足首をみせた。
足首にくくりつけられていたのは黒い輪っか。赤いランプが点滅していた。
「まりちゃんよ、とりあえずハピバだな」
なんの断りもなく部屋の真ん中にドッカリと座り、まりちゃんのコップを勝手に持ち出して酒を注ぐタクローは、「ほれ、座りな」とぽんと床を叩く始末。
失礼なやつはここでも顕在だ。
「で、いくつになったの?」
「は……はたちに……」
「ほっほー、若いな。いいねえ二十歳。まず響きが若葉だよ」
ゲスな笑みをまりちゃんに投げつけ、やんわりとウィンクを投げたタクローの視線をしれっとにわかにかわし、トナカイのほうに目を向けたまりちゃんに、
「まりちゃん、これジュースなんでこっちを飲んでくださいね」
こっそりとコップをすり替えるトナカイなど目にもくれず、乾杯もそこそこに一人で酒を煽っていた。