【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ
「まりちゃんは最近とても忙しいと聞いていますが体調は大丈夫ですか?」
トナカイが小さめにコップをぶつけて乾杯をした。
タクローは持参したお土産の酒を離さずに手に持ったまま部屋の中をうろうろしてぶつぶつ言っている。
変な珍客に最初こそ構えていたまりちゃんだったが、トナカイが隣にいて二人で話していても常にタクローを監視している雰囲気にいつも通りの姿勢に戻っていった。
「おい、まりちゃんよ、おまえさんは何やら人を助ける仕事に就きたいとかなんかそんなかんじだったよな」
「は、はい、そうですね」
「ふっ……
俺と一緒だな」
キランと光った歯にまたしても気味の悪い時代錯誤なウィンク。
「や、だからタクローさん、それぜんぜん無理ですから。まりちゃんにロックオンするのやめてもらえます?」
トナカイのつっこみに、
「え、ダメ?」きゅっと引っ込めていた腹がたぷんと前に張りでてきた。力を抜いてしまったようだ。
「ダメもなにも、土俵にすら乗ってないですからねっ! やめてくださいよ。私たちはお祝いに来たんじゃなかったんですか」
「さーてねえ」
ふんと鼻を鳴らし、くいっと酒を煽った。