転がる消しゴム [短]
高望みはしないと決めても
やっぱり少しは近づきたい、と
思うのが普通の恋。

いつのまにかテレビの星占いを
かじりつくように見ていたり、
ふと思い出したおまじないを
やってみたりした。



消しゴムに好きな人の名前を書く。



書き終わったあと、
まだ新しい消しゴムを眺めて

「…何やってるんだろ。」

と独りで苦笑いした。

独り言は寂しく響いた。


私は消しゴムを筆箱に戻した。


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