転がる消しゴム [短]
自分自身に呆れる半面、
おまじないにすがるように
消しゴムを使っていた。


誰にも触られないように。



今では角が無くなって小さくなっている。


両思いになんかなるはずも無いのに、
使いきるのを待っている自分がいる。


そして
使いきって何も起こらずに
新しい消しゴムを買いに行く自分を
想像して虚しくなる。




「こんなことしても
何も変わらないのにね。」


深夜のテスト勉強中に
消しゴムに向かって話し掛ける。



消しゴムは黙ったままだった。 

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